自分の手でやってみれば、必ず何かが生まれてくる

自分の手でやってみれば、必ず何かが生まれてくる

プロフィール

市場開発室齋藤 恭史

1989年、北海道札幌市生まれ。早稲田大学 国際教養学部 国際教養学科修了。2013年4月にスマイルズに新卒として入社。スープストックトーキョー店舗、シンガポールでの事業立ち上げを経て、市場開発室へ。海外事業の経験を活かし、スープストックトーキョーのハラール対応メニューを推進するなど、様々なプロジェクトに携わる。

※2020年8月時点の情報です。

「やりたいこと」を狭めないために選んだ、スマイルズ
僕は、2013年の新卒採用でスマイルズに入社しました。最初はスープストックトーキョーの店舗に配属され、現場を経験しました。その後、スープストックトーキョーの海外新店舗立ち上げメンバーとしてシンガポールで働き、今は「市場開発部」という部署で、新たなビジネスモデルやマーケットを作り出すことが僕のミッションです。

大学では、すべての講義を英語で行う「国際教養学部」に所属していて、一年間の留学も経験し、「海外に関わる仕事」というのが僕の就職活動におけるひとつの軸でした。それも、自分でプランを立てて手を動かす「事業」を通じて、海外と関わってみたかった。ですが、その頃の僕には、はっきりと「こんなこと(事業)をやりたい」と言えるものは無かったんです。

元々、自らが面白いと思えることを、自らの頭で考えて、自らの手を動かして。全部自分でやってみたいという気持ちが強く、スマイルズは、まさに僕が思う理想そのものでした。「スープストックトーキョー」があって、ファミリーレストランの「100本のスプーン」があって、ネクタイの事業「giraffe」があって、セレクトリサイクルショップの「PASS THE BATON」があって。こうして挙げるだけでも、飲食、アパレルと縛りが無いですよね。とにかく、なんでもやっている。

様々なジャンルの事業を展開しているスマイルズなら、いつか僕がやりたいと思える事業を見つけたとしても、「うちの会社で、それはやれないな」と頭ごなしに否定されることは無いだろう、と思ったんです。しっかりとした根拠や想いをもって「やりたい」と声を挙げれば、しっかり話を聞いてくれるんです。それは、スマイルズの良いところだと思っていますし、僕がこの会社に入ったひとつの決め手でもあります。

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たとえ「逃げ」でも、自分にできることを
最初に配属された「スープストックトーキョー ルクア大阪店」では、本格的な飲食業の現場仕事をはじめて経験しました。それまでの経験と言えば、大学の頃にやっていたイタリア料理屋のホールスタッフのみ。もう、何もできないんです。調理やレジ打ちなど、基本的なオペレーションがとにかく苦手でした。

だから現場についてはもがいた思い出の方が多いのですが、それでも印象に残っているのは、「ゴミ出し」についてかなと思います。僕が勤めた「スープストックトーキョー ルクア大阪店」は、面積がそれほど大きくないのですが、お客様の数はとても多く、全店舗のなかでもトップクラスの売り上げを持つ店舗なんです。だからお客さまの人数に対して、お店がどうしても狭く感じられてしまう。

しかも、ゴミ出しの時にお客様も通るルートを通らなければいけなかったんです。つまり、お客様の横を、ゴミ袋を持って通ることになります。飲食店として、それは絶対に良くないですよね。お客様からの印象もきっと良くないですし、自分がお客様の立場であったら、きっと嫌だと思ったんです。

その解決策として、一枚の大きな黒い布を買いました。ゴミ出しの際には、それをゴミ袋に掛けて行くんです。たったそれだけの、シンプルな話。でも、そうすれば、お客さまからは一切見えないじゃないですか。本当、ちっぽけ過ぎて思い出すだけで少し笑っちゃうぐらいなんですが、これは一つの「自分なりにやった仕事」だと思っています。



突然の「ミーティング」と、未来につながる大きなチャンス
そんなことを続けているうち、ある日突然、ミーティングの予定が入ったんです。とにかく現場の業務が苦手だった僕は、「オペレーションができなさ過ぎて、ついに叱られるのか...」と覚悟していました。遠くの方を見れば、事業部長と副部長がいて、もう終わりだ...と絶望しかけていました。

いざミーティングに参加すると、部長の口から出たのは「シンガポールで、スープストックトーキョーの新店舗立ち上げに携わらないか?」という言葉。叱られると思い不安だった気持ちから一転、もちろん二つ返事で「やります」と答えました。「海外に関わる仕事」をやってみたかった僕にとって、願っても無いチャンスでした。

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がむしゃらに取り組んだシンガポール時代
シンガポールでは、とにかくがむしゃらに仕事をしました。海外展開には前例がないので、とにかくわからないことだらけ。何が正解で何が不正解なのか、まったく見当もつかない状態です。店舗開設から財務・会計、採用活動や店舗の運営。1から10まで、すべて手探りでやっていきました。

お店として「食事」を提供するうえで、まず僕たちは、文化を知ることから始めました。あちこちに出かけたり、現地スタッフのみんなとどんどん話してみたり。とにかく、スタッフと仲良くなり、現地の情報や文化を知ったうえで、「食」の分野を学び進んでいこうと思っていました。

たとえ母国語が違う者同士であっても、互いに文化を理解し、フラットな関係性を作り上げられれば、業務は円滑に進んでいきます。そして、スタッフのみんなが「もっと教えてほしい」と思ってくれれば、どんどん「やりたいこと」が出てきます。それは、それぞれみんなにとっての「仮説」であり、「考察」でもあり、同じく「意思」でもありますね。それらを積極的に「検証」していくことで、より良い仕事が生まれていくのだと思っています。実際に、スタッフのみんなが考案してくれたメニューがお店に並んだこともありました。

たとえばそれが、ゆくゆく失敗に終わろうが、極端に言うと、結果は正直どちらでも構わないんです。「狙い」や「考察」さえあれば、それで良いと思っています。とにかく互いが対等な立場で意見を言い合って、それをできるだけ早く、小さく、実際に試してみる。最初から大きなことはできないので、なるべく「小さく」がベターですね。

良い結果であれば継続、悪い結果であれば中止。どんな結果も「一歩前進」と捉えて、「狙い」や「考察」と「結果」の間にある差を認識する。そして、次のアクションにつなげていくことが重要です。「トライ&エラーを繰り返して良いものを生み出す」ということを体感的に学べたのは、シンガポールでの仕事で得られた大切な財産ですね。どんな仕事も、どこまで行っても「やってみなきゃわからない」ですから。

最終的に、シンガポールの新店立ち上げプロジェクトは、三つの店舗をオープンさせたのち事業撤退となりました。閉店の際には、もちろんとても辛くはありましたが、現地スタッフの解雇も経験しました。

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「当事者意識を持つ」よりも、「当事者になる」ことが大切
ビジネスには「当事者意識を持つ」という言葉がありますが、僕は「当事者になる」ことが、一番の近道だと思っています。スマイルズでよく使われる「自分ごとにする」という言葉もそうです。とにかく自分が一番関わって、一番考えて、自分がやる。それも自分が一番本気で。当事者意識を持つだけでは、何も変わりません。意識だけではなく、「自分が当事者になる」ということこそが、良い仕事を生んでいくのだと思っています。それは、シンガポールのスタッフが積極的に自らの意見を言ってくれたことや、「スープストックトーキョー ルクア大阪店」で考案したゴミ袋カバーなど、これまでの経験から学んだことでもあります。

今の仕事は、入社時から思っていた、まさに「事業を創る」仕事です。楽しくてしょうがない、と思って働いています。これから取り組むことにも、じぶんがやると決めたことには「当事者」であり続けます。

入社からいままでで、ちょっと変化したのは「チームでやりたい」という気持ちかもしれません。これは、クリエイティブ本部本部長でありスマイルズ取締役・野崎亙氏の言葉ですが、プロジェクトに関わったみんなが「これは自分がやった仕事なんだ」と胸を張って主張できるような仕事を、チームでやり遂げられたら最高だと思っています。

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Smiles: